個人事業主の売り上げが増えてくると、考え始めるのが法人成りです。
個人事業主から法人へと、形態が変わることを法人成りと言います。
私は2014に個人事業主として起業して、5年目の2018年に法人成りをしました。
今回の記事では会社を経営してわかった、個人事業主が法人成りをするタイミングや分岐点、個人事業主と法人の違いなどをまとめています。
私の実体験を載せているので、現在、個人事業主として活動しており、将来的に法人成りを考えている場合は、参考にして頂けると幸いです。
私は経営者ですが、お金や税金のプロではありません。
勉強はしていますし、ある程度の理解はありますが、専門家ほどの知識はないです。
この記事に書いていることは、私の考えや実体験に基づくことなので、一つの参考意見としてお聞きください!
目次
個人事業主はなぜ法人成りをするのか?

私が法人成りを意識し始めたのは、2017年の中旬頃です。
毎年売り上げが増えてきており、2017〜2018年はかなりの利益が出そうでした。

そんな訳でお世話になっている経営者の先輩に相談をして、税理士さんを紹介してもらいました。
- 毎月の売り上げはどの程度あるのか?
- 年間の利益はどれぐらいまで伸びそうか?
- 今後どんなビジネスプランを考えているのか?
税理士さんと色々話し合い、どのタイミングで法人成りすべきかを考えた結果、2018年の4月に株式会社を設立しました。

個人事業主の方が気軽そうなのに、なぜわざわざ法人成りをするのでしょうか?

社会的に信用が得やすくなるなど、他にもメリットは沢山あります。
一般的には、節税を理由に法人成りする方が多いです。
私も法人成りをする際に、税金関係はある程度勉強しましたが、この辺の話はかなり複雑です。
具体的にシュミレーションをすると頭が混乱すると思うので、ひよこ君に簡潔に説明致してもらいます。
個人事業主と法人の税金について

個人事業主と法人の税金の違いを解説します。
個人事業主の税金について
まず、個人事業主で年間売上が3,000万円ある場合で考えてみます。
経費で1,000万円を使用しました。
この場合は売り上げから経費を差し引いた、2,000万円の利益に所得税が発生します。

個人事業主の所得税は「累進課税」と言い、多く稼げば稼ぐほど国に大量の税金を持っていかれるクソみたいな制度です。

仮に2,000万円の利益がある場合、40%が所得税として掛かります。
ここに住民税の10%が加わるので、利益の50%が税金に消えてしまう訳です。
これだけではありません。
「消費税」「国民健康保険」「国民年金」など、売り上げや利益が大きくなるほど、国に支払う税金は大きくなります。

「税金を払いたくないから確定申告をしない」というのは脱税です。
法律に反しますし、バレたら追加で徴収されます。
悪質だと判断された場合は逮捕される可能性もあるので、確定申告は絶対にしてください。
ちなみに余談ですが、

という場合は、年金事務所に免除申請を出してください。
未払いで放置すると将来年金を貰える額が減りますが、免除申請に通った場合は、支払いをしなくても年金をもらえます。
通常通りに支払った場合に比べて受給額は減りますが、貰えるだけ、放置しているよりも良いです。
ここで詳しくは書きませんが、税金関係は知識がないと確実に損をします。
税理士さんに丸投げも良くないです。
特にご自身でビジネスをしている場合は、最低限の知識は身に付けておきましょう。

法人の税金について
それでは次に、法人の場合で考えてみます。
先ほどの例と同じく年間売上が3,000万円あり、1,000万円を経費で使いました。
利益は2,000万円です。
法人の場合は年間利益が800万円を超えると、税率が一律です。

更に、役員報酬という名目で、役員にお給料を支払えます。
役員報酬も経費になるので、会社と個人で利益を分散させられます。
ちょっと複雑なので、図で表してみます。

役員報酬で1,800万円を支払った場合、会社の利益は200万円なので、支払う税金が少なく済みます。
我が社の場合、私と妻が会社の役員です。
会社から毎月役員報酬をもらっています。
個人事業主と同様に、住民税や社会保険料など税金は色々掛かります。
しかし、ある程度利益が大きくなってきた場合は、法人成りをした方が税金が安くなる場合が多いです。

個人事業主が法人成りするタイミングや分岐点は?

具体的に、年間の利益がどのぐらいになったら、法人成りすべきなのか?
答えになっておらず申し訳ないのですが、正直こればっかりは、何とも言えません。
取り組んでいる事業や従業員の有無、売り上げ規模や経費などによっても変わってきます。
税理士さんと相談して、シュミレーションしてみるのが一番良いです。


という場合は、早めに法人成りをしても良いと思います。
節税だけがメリットではありません。


という場合は、ある程度様子を見てから法人成りをすれば良いです。
無理に法人成りをする必要はありません。
一人一人の考え方や生活スタイル、ビジネスプランによっても変わってくるので、一概に断定することはできないです。
個人事業主が法人成りする一つの目安
一つの目安としては、年間利益が900万円を超えてきたら、法人成りを考えても良い頃かと思います。

個人事業主で所得が900万円を上回ると、税率が23%から33%に跳ね上がります。
これに対して住民税が約10%加わるので、所得の約43%が税金として掛かります。
また、利益で900万円を超えている場合、売り上げはほぼ確実に1,000万円を超えていると思います。
売り上げが1,000万円を越えると、消費税を支払う必要があるのですが、法人成りをしてから2年間は、消費税を支払う必要がありません。

このぐらい利益が出てくると、法人成りをした方が得になることも多いです。
逆にこれ以下で法人成りをしてしまうと、多く税金を支払う可能性が出てきます。
※何度も言うようですが、目安であり断定はできません。
タイミング的には、遅い方かもしれません。
しっかりと基盤を整えたかったので、割と慎重に法人成りをしました。
一つの意見として参考にして頂ければ幸いです。
個人事業主が法人成りする際には税理士さんとの相性も重要
法人成りをする場合、税理士さんとの相性も大事です。
私の税理士さんは、サービスがとにかく丁寧です。
- 返信が早い!
- 頑張って色々経費で落としてくれる!
- 節税の提案をしてくれる!
- くだらない談笑にも付き合ってくれる!(笑)
疑問点をLINEやチャットワークで質問すると、直ぐに返信をくれます。
電話対応も無制限です。
経費は常識の範囲内で落としてくれますし(笑)、節税対策も積極的に提案してくれます。
打ち合わせも楽しいです。

と思われるかもしれませんが、当たり前ではないです!
周りからも聞きますが、次のような税理士さんも多いみたいです。
- 連絡をしても返事が遅い
- 経費を中々落としてくれない
- 節税の提案をしてくれない
- お役所仕事のような事務対応

という方もいると思います。
別にそれ自体を否定するつもりはありません。
しかし、税理士さんとは長い付き合いになる可能性が高いので、顧問料だけでなく、人柄やサービスなど、総合的に判断して決めることをおすすめします。
先ほども述べたように、税理士さんを信用しているからといっても、全て丸投げするのは良くないです。
税理士さんは税金の専門家であって、お金の専門家ではありません。
ここ、多くの方が勘違いします。
例えば、私は親戚中からパソコンの専門家と思われています。
WEBマーケティングは得意ですが、パソコンの種類や機能などには疎いです。

と聞かれても、答えられません。
税理士さんも、税金の話や節税の提案はできるにしても、お金の全ての悩みは解決できません。
税理士さんに全て丸投げするのではなく、あなた自身がきちんとお金の知識を身に付けるのが大事です。
法人成りをして良かった点

節税対策になる!
やはり節税対策です。
役員報酬という形で、私と妻にお給料が払えます。
個人事業主時代と比べても、経費で計上できる項目が増えました。
特に家賃の7〜8割を経費にできるのは大きいですね。

真っ当な経営ができる!
真っ当な経営と言うと、語弊があるかもしれません。
ただ、個人事業主時代は税理士さんと契約していなかったので、確定申告などの税金処理は、全て自分で行っていました。
法人成り後は税理士さんと契約しているので、帳簿の記帳や確定申告等、専門的な作業をお任せできます。
具体的な節税のアドバイスなどもしてくれるので、専門家が付いてくれるのは心強いです。

肩書きができる!
「代表取締役」という立派な肩書きが手に入ります。
「肩書きなんて興味ないよ!」という方もいるかもしれません。
(正直に言えば、私もあまり興味がありませんでした…。)
「株式会社◯◯ 代表取締役社長◯◯」と書かれた名刺や、自分の会社のHPなどを見ると、これが結構感動するんですよね。
社長として認識されるので、社会的な信用度が高くなります。
個人事業主と比べても、融資も受けやすいです。
専業主婦だった妻は、自動的に取締役に昇格しました。
毎月口座に役員報酬が振り込まれています 笑
妻は専業主婦になるのが夢だったので、今でも周りには専業主婦で通しているそうです。

法人成りをして面倒に思った点

何かとお金が掛かる!
株式会社を立ち上げるのに20〜30万円ほど、税理士さんとの顧問契約で年間50〜60万円ほど、社会保険への加入で役員報酬の約3割の税金が掛かります。
これが、個人事業主時代にはなかった法人特有の負担です。
特に社会保険の負担が重いです。
仮に役員報酬を100万円に設定した場合、社会保険で支払う額は30万円近くになります。
(3割は目安だと思ってください。)
社会保険は法人と個人と折半なので、15万円ずつ支払うことになります。
会社を経営しているのは自分自身なので、結局は全額自分で支払うのと同じです。
将来もらえるかどうかわからない年金の為に、バカ高い社会保険料支払うとかやってられません。
これらを差し引いても、法人成りをした方が税金が安くなる可能性はあります。
そうでなければ法人成りをする意味がありません。
ただ、余計にお金が掛かってしまう場合もあるので、法人成り後の必要経費にはよく理解しておきましょう。

特に社会保険の負担は大きいよ!
役員報酬が1年間変更できない!
役員報酬は、一度決めたら1年間変更できません。
これが結構厄介です。
毎月の売り上げが300万円あり、毎月の役員報酬を250万円に設定したとしましょう。
しかし、会社の業績が傾いて、毎月の売り上げが100万円に下がってしまった…。
この場合も、最初に設定した役員報酬の250万円は、1年間は払い続けなければなりません。
更に、250万円に対する社会保険料も発生します。
役員報酬を高く設定しすぎた場合、会社の業績が傾いた時の負担が大きいです。
反対に役員報酬を低く設定しすぎた場合は、会社の業績が伸びた時に税金を大量に支払います。
つまり、1年間の業績を予想して役員報酬を決めなければなりません。
ビジネスは予想通りにはいかないので、役員報酬の設定は中々難しかったです。

法人口座と個人口座が分かれる!
法人口座と個人口座が完全に別れます。
法人と個人は別物なので、混合はできません。
例えば、個人事業主で月の収入が200万円ある場合、その200万円をどう使おうが勝手です。
法人の場合はそうはいきません。
月の収入が200万円で役員報酬が50万円の場合、個人が自由に使えるお金は50万円のみです。
残りの150万円は会社のお金になるので、プライベートで使う訳にはいきません。
「法人用のお金」と「個人用のお金」の両方を管理する必要があるので、最初のうちはかなり戸惑うと思います。

個人事業主の法人成りのタイミングまとめ
個人事業主が法人成りをするタイミングや分岐点は、一概に言い切ることはできません。
取り組んでいる事業によって異なりますし、考え方も一人一人違うからです。
「利益で900万円以上」が法人成りの一つの目安にはなりますが、最終的にはあなた自身が決めることです。
正直に言えば、個人事業主の方が気楽だと思います。
法人ほど厳密な記帳は必要ないですし、口座を法人と個人で分ける必要もありません。
売り上げや利益がまだ少ない状態であれば、個人事業主として活動する方が良いと思います。
無理に法人成りをしても、余計な負担が増える可能性が高いからです。
ただ、長期的にビジネスを続けていく場合は、ほとんどの方が、どこかのタイミングで法人成りと向き合うことになるでしょう。
その時にでも一人の経営者の意見として、今回の記事を参考にしてみてください。
「税金なんて国から言われた分だけ、いくらでも払いますよ!」と言えるぐらいの経営者になりたいですね 笑